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Column & Report

リカバリーストレッチサロンでの施術前後の関節可動域の変化について 

2024.10.15

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図1:同意をいただけた方の年齢分布

(年齢未記入者2名を除く) 

リラクゼーションや整体などの施術を受けたことがある方は、「体が楽になった」と感じたことがあるかもしれません。ではその時に「どれくらい楽になったのか」を明確に答えるのは、意外と難しいことではないでしょうか。 

そこで当サロンでは「体が楽になった」指標の一つとして、関節を動かせる範囲(以下、ROM)の変化を調査してみました。調査方法の詳細は後半に掲載していますので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。今回調査にご協力がいただけた方は男性21名、女性12名、ご年齢は40代が中心でした(図1)。 

結果を見てみますと、首を横向きに回す(頚部回旋)ROMの平均値±標準偏差(バラつきの程度)は施術前56.71±7.21→施術後73.14±8.42でした。

同じく腕を上げる(肩屈曲)ROMは173.56±9.98→181.82±8.88、体幹を横向きに回す(胸腰部回旋)ROMは50.55±13.16→65.74±15.31となりました(図2~4)。

これらを統計処理するとPaired t Test p<0.01で有意差あり(統計学的に偶然ではなく、意味のある違い)と判定されました。 

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図4:胸腰部回旋ROM平均値の変化 

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図3:肩屈曲ROM平均値の変化 

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図2:頚部回旋ROM平均値の変化 

肩のストレッチ

以上から40歳代を中心とした働き盛り世代の方は施術後に平均して8~16°程度、関節の動きが広がったことがわかりました。

働き盛り世代は業務で長時間にわたり同一姿勢をとらざるを得ないこともあり、身体のこわばりも強くでやすい時期と言えるかもしれません。

パフォーマンスを高く維持するために、適切なケアが重要です。

当サロンではこれからも働く世代のサポートに努めて参ります。 

【方法】 

対象:2024年9月4日~30日にサロンに来てくださった方33名※1 

測定方法:「2022年改訂版関節可動域表示ならびに測定法」を参考に、easyangle(伊藤超短波製)を用いて、肩屈曲、頚部回旋、胸腰部回旋の左右方向への自動(自分で動かす)ROM測定実施 

施術内容:40分または60分を基本※2とし、四肢体幹のストレッチや呼吸トレーニング等を実施 

統計処理: Excellデータ分析ツール※3を用いて、施術前後のROMの平均値、標準偏差の算出およびPaired t Test(平均値の差が偶然かどうかを検証する)を実施 

分析対象外の基準:施術時間の兼ね合いで施術後にROM測定が未実施であった部位 

※1 ROM測定結果の集計・分析・発表に同意のないものを除く 

※2 1名は延長希望により100分実施 

※3 Microsoft 365 Apps for Business バージョン2409 

 

(調査の限界と注意点) 

本調査における結果はあくまで即時的な変化を示すものであり、持続的な変化に結び付けるにはストレッチを継続することが必要になると予想されます。また標準偏差が示すように、施術によるROM変化にはやはり個人差があり、例えばストレッチ施術で筋肉が緩み過ぎることで、一時的に筋収縮が低下し、稀ではありますが自動の肩屈曲ROMが低下する事例もあります。一般にこの症状は時間が経過すると回復するので特に心配はいりませんが、事前に説明は必要なものだと思われます。 

文責 シェパード正樹 

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